みなさん、2016年明けましておめでとうございます!
COMINCA TIMESは、この年明けでオープンしてから1年2ヶ月を迎えました。

昨年の2015年は、東京にいたメンバーのうち私が京都へ、もう一人が富山へと移住し、さらに仕事環境も変えて不動産の資格を取得したりと、"変化"の年でした。そして、"古民家を1軒でも多く未来に残す"をコンセプトにした僕たちも新たなチャレンジの必要性を感じた一年でもありました。

その答えを見つけるために昨年の12月、メンバー合宿をしてきたので、今回はそのレポートをお送りします。昨年も伺った飛騨古川で、古民家活用の取り組みをされている株式会社柳組の竹川さんにもアドバイスをいただきながら、飛騨の古民家に3日間行いました。
地元で移住者への古民家の紹介を行っている方へのヒアリング。

地元で移住者への古民家の紹介を行っている方へのヒアリング。




古民家保存のために、最も重要なことは何か。


COMINCA TIMESの構想を練っていた時から、一定数の古民家好きと言われる人がいることはわかってきていて、「古民家のあの雰囲気が大好き」という方や「古民家カフェによく行きます」というような方も多くいました。そう言った方々に、日本中にある古民家の情報を届けたいと思って始めたのですが、情報発信を続けてきて辿り着いた答えがありました。それは、実際に活用されている古民家や、活用しようとしている古民家の情報は探し当てる事ができるけど、それだと残していける古民家の母数が、減っていく古民家に比べて少なすぎるという感覚でした。

古民家がなくなっていくのは、諸々の事情から"所有者"がいなくなり譲り受けた方が使い方をわからずに壊してしまう、または放置する、というのが原因です。当たり前といえば当たり前なのですが、"人口減少"と"都心部への人口集中"、"ライフスタイルの変化"が起こっているので、この大きな流れは変えづらいのかもしれません。さらに、不動産と建築の現場に入って半年、古民家を活用する場合に直面する問題もあることがわかりました。

それは、「取引形態」と「費用工面」、「地域性」の3つの問題でした。「取引形態」とは、"賃貸"なのか"売買"なのかということ、「費用工面」は購入や修繕にかかる費用捻出のことです。「地域性」とは、地域のコミュニティとどうつながっていくのかという点です。

売りたいオーナー、借りたい入居者。


この見出しに書いた通りで、古民家のオーナーさんは活用する方法として"売買"を中心に考えます。それは、賃貸だと貸している間の建物のメンテナンスは、オーナーの責任で対応しなければいけなかったり諸々の事情があるからです。一方、入居者側は、その家がどんなものなのか試しに住んでみたい人が多く、"賃貸"物件を探します。ここで、マッチングのズレが生じていました。

さらに、2つ目の「費用工面」の問題も絡んできます。"売買"で考えるオーナーさんが設定する金額は、一般的な不動産鑑定の手法、それに今まで修繕でかかってきた費用をまかなえるくらいの金額、という設定の仕方をします。なので、田舎にあってもある程度の値段で古民家が売りに出されていることが多いのです。しかし、じゃあ入居者がそれを現金で買えるかというとなかなかそんな人がおらず、ローンを組もうとすると、その古民家の所在が田舎だったりすると銀行は物件の流動性の低さを懸念して組んでくれなかったりします。これが2つめのズレでした。

そして、3つ目の「地域性」。それは古民家が残る地域は、住民同士のつながりがまだ残っているエリアと重なることが多く、代々の家を手放すという行為に対するネガティブな反応が現れるということ。そして、それは入居者にとっても、"まだよく分からないコミュニティ"のところに"売買形態"で住み続けるのは抵抗を感じさせる要因にもなっていました。


3つの問題点を一手に引き受けるスペシャリスト。


そんな課題を洗い出していた時、柳組の竹川さんから、飛騨古川で街の中と外をつなぎ古民家を次の担い手に渡している方がいるというので紹介していただきました。SATOYAMA EXPERIENCEの顧問にもなっておられる加藤時夫さんです。
お話をお伺いした加藤時夫さん。

お話をお伺いした加藤時夫さん。




我々の課題意識を率直にぶつけて色々聞いていると、時夫さんがいつもどんなことをしているのか教えてくれました。それは、とても高度なコンサルティングでした。古民家の対処に困っているオーナーがいれば訪ね、どういう方法が一番いいのかを提示されていました。例えば、1,000万円だと高すぎるからもっと低くしないとダメだ、とか、今対応しておかないと何年後かには税金がこれだけ取られるから早い方がいいよ、売買より賃貸じゃないとダメよ、というのを所有者にアドバイスしていました。また、反対に入居者からの相談が来れば、その方の人となりを見て、開いている古民家の地域性との相性を判断して、必要であれば間をつなぐ役割もされていました。しかも、時夫さんはこれを報酬をもらってやっているわけではなかったのです。
加藤さんの話を皆で熱心に聞く。

加藤さんの話を皆で熱心に聞く。




翌日はお仕事を退職されたあと、飛騨高山で古民家を残したくて自ら不動産業を開業した白栗不動産の白栗さんもご紹介をいただきお話を伺ってきました。白栗不動産は、古民家専門の不動産屋さん。ご自身の家も富山の立派な古民家を移築するほどの古民家好き。街を歩き、古民家を見つけると直接その物件や近所の方に触れ合うことから始めて、その古民家を活用する方法を一緒に考えられていました。白栗さんが相談に乗っておられる古民家オーナー様にもお話を聞く機会をいただき、どうやって古民家を守ってきたのか、さらにどういう経緯で古民家を次の方に託そうとされたのかなど、お聞かせいただきました。
白栗不動産の白栗さん(左)と、古民家オーナーさん(右)と一緒に。

白栗不動産の白栗さん(左)と、古民家オーナーさん(右)と一緒に。




時夫さんと白栗さん、お二人のお話を伺い、純粋に「こりゃすごいな(笑)」っと思わされたと同時に、「時夫さんと白栗さんがいるからこの地域は古民家が残っているんだな。」と思いました。そしてまた、この高度な折衝はなかなか代用できるものではないということがわかりました。


全国で同じことができる仕組みは作れるか。


合宿最終日、2日間インタビューを整理して再度みんなで会議を行いました。テーマは見出しの通り「時夫さんと白栗さんがやられていることを"誰でも"できるようにする方法はないか」。お二人は、一定の不動産・税金の知識、そして地域や外部とのパイプを持っておられました。それらが一人の人に帰属している状態では、全国的な古民家保存の取り組みにはなり得ない。そこを解決する手立てはないか考えました。
合宿3日目、議論は古民家を活用する仕組みについて。

合宿3日目、議論は古民家を活用する仕組みについて。




古民家を活用し保存するために、古民家を流通させる。


3日間の議論の結果はまだお伝えできませんが、進むべき方法は少し見えてきました。先述した「取引形態」「費用工面」「地域性」以外に、もう一つ、古民家保存のために押さなければいけないスイッチがあることに気づきました。見出しを見ると一見真逆のことを言っている様ですが、「古民家を活用し保存するために、古民家を流通させる。」こと、これが必要性だという結論に辿り着きました。現段階では、時夫さんと白栗さんがやられていることの全てを一つの組織でやることはできないので、色々な方々と協力し合いながらですが、古民家を活用する"仕組み"を作っていければと思っています。


なにやら自分たちの頭の整理のためのレポートみたいになってしまいましたが、そんなことを思いながら2016年、動いていければと思っています。

引き続き、COMINCA TIMESをよろしくお願いいたします。

COMINCA TIMES スタッフ一同
Writer ライター

Takayuki Minakuchi

Takayuki Minakuchi

「COMINCA TIMES」編集部。京都の祖父母の家は築数百年の茅葺屋根。